社会貢献活動事例集

社会福祉法人の取り組み

このシリーズでは、大分県内の社会福祉法人(施設)がそれぞれの地域で取り組んでいる社会貢献活動を紹介します。(全6回)

Vol.1

無休の配食で住民見守る

国東市の「配食サービスセンター鈴鳴荘」

 国東市安岐町の社会福祉法人安岐の郷は、一人暮らしの高齢者を中心に年中無休で、手作りの昼食や夕食を届ける「配食サービスセンター鈴鳴荘」を運営。「見守りや安否確認を欠かせない」と使命感を持って取り組む。

 配食サービスは2006年4月にスタート。00年に介護保険制度が始まった中で、要介護認定は受けていないが▽料理ができない▽買い物に行けない▽火の元が怖い―といった理由で栄養バランスの取れた食事ができていない人たちがいる課題が浮き彫りになり、取り組みを始めた。
 当初は昼食のみだったが08年からは夕食も開始。現在は市の配食サービス事業の委託も受け、昨年12月時点で昼食26件(安岐町内)、夕食74件(安岐、武蔵両町内)を届けている。料金は、主菜と数種類の副菜を弁当箱に詰めて1食500円。ご飯(100円)は任意で追加できる。市のサービスを受ける人は一部が補助される。
 安岐の郷法人本部の髙橋直樹部長と中嶋明美課長は「配達は、利用者に異状がないか確認する重要な機会」と口をそろえる。体調が急変し倒れている利用者を助けたこともあったという。「『配達員と話すことが楽しみ』『おかずがおいしい』という声を聞くとやりがいを感じる」という。
 しかし、人口減少とともに利用者も徐々に減っており、20年度の約4万3千食から本年度は1万食近く減る見込みだ。物価高騰や、年中無休で調理や配達に当たるスタッフ15人の給与などを考えると、維持は大変だという。髙橋部長は「配食サービスがあるから自宅で暮らせる人もいる。地域を守るために知恵を絞りたい」と話している。

配達時に利用者の様子を確認

配達時に利用者の様子を確認

社会福祉法人 安岐の郷

住所:〒873-0222 国東市安岐町下山口58
TEL:(0978)67-2626
理事長:髙橋 とし子
運営施設(事業所):特別養護老人ホーム鈴鳴荘、特別養護老人ホームむさし苑、養護老人ホーム松寿園、朝来サポートセンター鈴鳴荘 ほか

Vol.2

高校生の学びをサポート

別府市の「一燈園」

 別府市の社会福祉法人「一燈園」は、別府鶴見丘高校の1年生が授業の一環で取り組む探究活動に、地元事業所として協力。福祉業界の地域課題の研究に挑戦した生徒たちをサポートした。

 同校の「総合的な探究の時間」の授業の一環。1年生は数人ずつのグループに分かれ、地域の課題を知り、解決策を考え、発表する―という過程に数カ月間かけて取り組んだ。一燈園をはじめ、観光や経済など12分野の地場企業などが各グループを支援した。
 一燈園は、担当したグループの生徒12人に、介護現場の深刻な人手不足を説明し、研究テーマとして「若者への福祉業界の魅力発信策」を提案。昨年12月にはフィールドワークがあり、特別養護老人ホーム「石垣一燈園」を訪れた生徒たちを職員が案内し、介助や移動を手助けする介護ロボットを活用する様子などを紹介した。生徒は実際に使い方を体験したり、職員に仕事内容や、やりがいなどについて質問したりした。
 2024年11月には同校で、学びの集大成となる成果発表会があった。一燈園の職員が見守る中、生徒たちは、福祉の仕事の体験会の開催や、ポスターを使った仕事のPRなど、課題へのアイデアや考察を発表した。
 一燈園が同校1年生の探究活動に協力するのは3年目。岩崎和恵業務部長は「高校生に高齢者福祉への理解を深めてほしいと思い、サポートしてきた。生徒の中から将来、福祉に携わる人が出てほしい」と期待。本年度を振り返り「しっかり分析して考えをまとめてくれた。真剣に取り組む姿がうれしかった」と話した。

成果発表会に職員も出席

成果発表会に職員も出席

社会福祉法人 一燈園

住所:〒874-0831 別府市堀田4組(大字南立石347番地)
TEL : (0977)22-6100
理事長 : 神徳 博宗
運営施設(事業所):特別養護老人ホーム「一燈園」、住宅型有料老人ホーム「堀田一燈園」、特別養護老人ホーム「石垣一燈園」、サービス付き高齢者向け住宅・特定施設入居者生活介護・ケアハウス、「サンクレールいっとうえん」ほか

Vol.3

施設機能生かし地域交流

大分市の「森の木」

 大分市の社会福祉法人「大分県福祉会」が運営する児童養護施設「森の木」(同市中尾)は、地元賀来校区の社会福祉協議会、民生児童委員協議会と協働。一人暮らしの高齢者を対象にした「ふれあい事業」に参画している。

 参画したのは十数年前。子どもたちに栄養バランスが取れた食事を提供する栄養士や調理員が在籍し、調理室を持つ森の木の機能を生かした取り組みを続けている。
 毎年7月は、校区社協・民生委員協が主催する「賀来校区一人暮らし高齢者ふれあい交流会」を森の木で実施。昨年も民生委員と共に約100人分の料理を準備し、大勢で食卓を囲む機会を提供した。地域の高齢者のピアノ演奏に合わせて歌ったり、看護師が健康体操を指導したりと「にぎやかなひとときを楽しんでもらっているのでは」と、職業指導員の竪山康代さんは話す。また、高齢者の送迎について、近隣の特別養護老人ホーム「創生の里」、障害者施設「第一博愛寮」、社会福祉法人「シンフォニー」が協力しており、交流の輪が広がっている。
 毎年2月には「賀来校区一人暮らし高齢者配食サービス」に協力。今年も、交流会に参加できない高齢者を含め約200個の弁当を作り、民生委員が自宅まで届けた。旬の冬野菜をふんだんに使い、デザートまで計8品を詰めた。竪山さんは「メニューの考案や材料調達など2カ月ほど前から準備した。コロナ禍の間は中止していたため、とても喜ばれた」と振り返る。
 安藤覚施設長は「地域の社会資源として、交流活動などの一層の充実を図り、貢献していきたい」と話している。

和気あいあいと食事を楽しむ参加者ら

和気あいあいと食事を楽しむ参加者ら

社会福祉法人 大分県福祉会

住所:〒870-0025 大分市顕徳町1-13-17
TEL :(097)532-3472
理事長 : 有松 一郎
運営施設(事業所):母子生活支援施設 別府厚生館、障害者支援施設 うえの園、障害児入所施設 清明あけぼの学園、児童養護施設 森の木、滝尾保育園、明野しいのみ保育園 ほか

Vol.4

住民の交流促す場所運営

大分市の「清流苑」

 大分市の社会福祉法人「清流共生会」は、地域住民の健康づくりや居場所づくりに力を入れている。公民館での健康体操や脳トレーニングの指導、さまざまな人たちが交流するカフェなど、活動の幅は広い。

 大分市の東陽、大東、城東各中学校区の公民館では月1回、「ライフUP来楽舞」を開いている。運営するデイサービス4施設から介護職員や機能訓練指導員が赴き、マットやポールを使って体の柔軟性などを維持する健康体操や、パズルを使った脳トレなどを丁寧に指導。介護や認知症の予防につなげ、地域で元気に暮らし続けてもらうことを目指している。ケアセンター清流苑主任介護支援専門員の細川真由美さんは「参加者同士で楽しみながら取り組むことで、運動習慣が身に付いているのでは。自宅でできるストレッチも教えている」と話す。
 介護保険サービスセンター清流苑では月1回、「ライフUPカフェ」を開催。認知症の人や家族に加え、障がい者、高齢者など地域で暮らすさまざまな人たちが一緒に料理を作ったり、コーヒーを飲んだりしながら交流を深めている。「認知症に不安を抱えている人が、多くの人と話すことで自身への理解が深まり、不安が和らいだという声を聞く」と細川さん。自分の事情を知っている人たちがいるカフェは、安心できる場所になっているという。
 医療介護連携室の梶原幸栄室長は「住民がお互いを助け、支え合いながら共に生きていく地域をつくっていくことが目標。地域に根差した施設として、相談し合える関係づくりを支援したい」と話している。

介護職員や機能訓練指導員が健康体操など指導

介護職員や機能訓練指導員が健康体操など指導

社会福祉法人 清流共生会

住所:〒870-0128 大分市森336番地
TEL : (097)527-6600
理事長 : 児玉 哲郎
運営施設(事業所):ケアセンター清流苑、ケアセンター明治清流苑、ケアセンター川添清流苑、ケアセンター高田清流苑、ケアセンター舞鶴清流苑、高田のぞみこども園、高田のぞみ学童クラブ ほか

Vol.5

地域に楽しい交流を創出

臼杵市の「みずほ厚生センター」

 臼杵市のみずほ厚生センターは、子ども食堂の取り組みを通して、地域の子どもたちに食事や楽しい時間を提供している。障がいのある作家の作品を広める「元気のでるアート!」の事務局も担う。

 子ども食堂の名称は「まんぷく食堂」。「ご飯を食べていない」「食べる時は一人」というある子どもの言葉をきっかけに、2017年にスタートした。年3回ほど開き、クリスマスなどのイベントとも組み合わせ、子どもたちに食事だけでなく楽しい時間を提供。開催時には市内の小学校に招待状を配り、参加を呼びかけている。
 コロナ禍で開催が難しかった時期も、市内8カ所の児童クラブに出向いてお菓子やおもちゃなどを配り、交流を続けた。昨年10月にはセンターが開催するイベント「ドリームフェスタ」に出展し、ヨーヨー釣りなどで子どもたちを楽しませた。今年2月には久々に食堂が復活。今後も定期的な開催を検討している。
 「元気のでるアート!」は、障がい者アートを通して、障がいのある人とない人の出会いや交流を広げる取り組み。センターの相談支援事業所「さぽーとセンター風車」が事務局を担い、県内各地で、障がいのある作家の作品展示を行っている。
 地元でも毎年、「うすきまちなかアート!」を開催。期間中は商店街の店舗に作品を展示し、作家による公開制作やワークショップも実施する。昨年はドリームフェスタでも、缶バッジを制作するワークショップを行った。広く市民にアートと触れ合う機会を提供し、障がいの有無にとらわれない共生社会の実現を目指している。

コロナ禍でも子どもたちと交流を続けた

コロナ禍でも子どもたちと交流を続けた

社会福祉法人 みずほ厚生センター

住所:〒875-0023 臼杵市江無田1119番地の5
TEL : (0972)64-0177
理事長 : 大塚 恭弘
運営施設(事業所):特別養護老人ホーム四季の郷、障害者支援施設みずほ学園・聖心園、グループホームあっとほーむ風車、相談支援事業所、さぽーとセンター風車 ほか

Vol.6

連携して生活困窮者支援

中津市の「いずみの園」

 中津市の中津総合ケアセンター「いずみの園」は、市内の社会福祉法人などで構成する「福助(ふくすけ)ネットワーク会議」に参加している。生活に困難を抱える方に対し「幸福になるための助っ人」=「福助」となるよう支援に取り組んでいる。

 失業、虐待、病気やけがなど、困窮の原因はさまざま。夫婦が病気で働けず、子どもが引きこもっているなど、一つの家庭に複数の課題があるケースも少なくない。福助ネットワーク会議にはいずみの園の他、児童養護施設、障がい者施設、高齢者施設、市社会福祉協議会が参加。それぞれの専門性を生かしながら連携し、個々の状況に寄り添って、自立に向けた重層的な支援を行っている。
 毎月1回、会議を開き、情報を共有して事例を検討。スクールソーシャルワーカーや心療内科の相談員なども参加し、対応を協議する。社会福祉法人のコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)が生活困窮者から相談を受け付け、最長3カ月、現物支給による経済支援も行う「おおいたくらしサポート事業」の枠組みも活用している。
 活用できる社会資源がなければ、新たな仕組みをつくって対応。その一つが就労準備支援事業で、就労の前段階として、生活リズムを整えるところからサポートする。企業の協力を得て、段階的に就労につなげる長期的な支援の仕組みを整えた。
 生活の安定のために必要と判断すれば、住居のごみも片付ける。不要になった家電などを集めて必要な人に無償で提供する「ものバンク」も運営している。いずみの園のCSW野見山晃さんは「制度のはざまにいる人たちを支えていきたい」と話している。

会議で事例を検討

会議で事例を検討

社会福祉法人 九州キリスト教社会福祉事業団

住所:〒871-0162 中津市永添2744
TEL : (0979)23-1616
理事長 : 冨永 健司
運営施設(事業所):特別養護老人ホーム、ケアハウス、グループホーム、デイサービス、訪問介護、訪問看護、障がい者支援、児童支援、子育て支援 ほか

過去の活動事例

お問い合わせ

大分県社会福祉法人
社会貢献活動推進協議会(大分県社会福祉協議会)

住所:〒870-0907
大分市大津町2丁目1番41号 大分県総合社会福祉会館内
TEL:097-558-0300

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